
古代ローマ都市における ”軸相空間” 分析図
AXIAL CIRCUS
− 古代ローマ都市における"軸相空間"の現代的再編 −
ローマ地下鉄新駅舎計画
ムッソリーニによる帝国通りはコロッセオを見るための一義的な軸線であり、本研究の発見である古代ローマの都市建築の構成原理、 ”軸相空間” (軸線と視線の戯れる空間性)と対比的であると発見しました。
現在、帝国通り上に地下鉄新駅舎が開発中です。新駅舎計画予定の空地を敷地とし、対比的な古代都市と近代都市、現在の街並みを調停することを目的とした新地下鉄駅舎を実験的に計画します。
敷地条件として大きな高低差のあるガケと土留壁があります。土留壁・地形と連続しながらコロッセオのスリバチ型と呼応する丘のような大屋根大空間を新駅舎として計画します。 全体の造形は交錯する軸線を束ねるイメージとすることで、古代ローマ都市にかつて在った軸線と視線の戯れる空間性を内部空間に作ります。



既存の街並みのスケールと古代のバシリカのスケールのグリッドをストラクチャーとして交差させ、古代都市と現在の街並みのスケールを取り込みます。
アールの造形により、外周は古代近代の都市の軸線をまとめ都市の運動を作るメディアとして、中央は建築内部の軸線をまとめ人の運動を作るメディアとして、内周は四差路へ開かれた外部空間を作るメディアとして機能します。交錯する複数の軸線はアールの接線として軸の束のように調停されます。

建築空間は、一義的な軸線の帝国通りに対し、アールをメディアとした軸の束となることでかつて在った軸相空間がうまれます。古代ローマでの建築の都市への構成法を機能の連関・連続・混成法として用いることで、大屋根空間内に軸線と視線が戯れる空間が生まれます。 近代に引かれたムッソリーニの軸線と平行して主要導線があり、かつてとは対比的な軸線と視線が交錯する空間となります。
全体の造形はスリバチおよび円錐を基準としており、ストラクチャーにも古代から存在するアーチ構造を下地にした円錐の空間構造とします。この円錐は空間環境のための採光であり雨樋です。構造は引張りと圧縮を組み合わせた構造合理性によるものであり、意匠・構造・環境を統合して捉えた空間構造です。

AXIAL CIRCUS, Section Model










